実演鑑賞
満足度★★★★
売れない芸人と、それを支え続ける妻(清水直子)、父親が嫌いな息子。何を言われても決して怒鳴らないでユーモアある話芸風に返す父親(モロ師岡)の飄々とした生き方に感心する。息子のカラク(杉田雷麟)もいい。小学校で父親の高座を体育館で開いたとき、舞台で父が息子をいじったためにクラスで笑われて以来の積もり積もった父への嫌悪を、20歳の、思春期ではないが大人でもない、少ない言葉とあからさまな態度で表していた。
なかなかシリアスな舞台だが、息子にモーレツアタックするバイト仲間の女性(幼馴染らしい=鈴木こころ)の天真爛漫な明るさが救い。この二人も支え、支えられる関係になりそうで、父母の関係とだぶるのは心憎いつくりである。
装置は、舞台中央の4畳半の畳の部屋とテーブルを置いた板の間の、ふすまで接した「二間続き」のセットだけ。くるくる回転して、この二間の家以外の場所もあらわす。