扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION― 公演情報 劇団扉座「扉座版 二代目はクリスチャン ―ALL YOU NEED IS PASSION―」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    扉座の『二代目はクリスチャン』を観劇。

    故・つかこうへいの生の芝居を体感したいなら『扉座』と言われているが、ここ数年でつか作品を連発している。
    つかこうへい自身はこの戯曲を一度しか公演していないようだ。

    元シスター今日子は刑務所から出所してみると亡夫の神流組はほぼ壊滅状態だという。組員たちも組を解散するつもりだが、今日子は組の立て直しを決意するのであった…。

    概ねのあらすじだが、横内謙介は原作を借りただけでほぼ新作を作ってきたようだ。
    暴対法によりヤクザたちのシノギが無くなり、原発危険作業員、老人介護など人がやりたがらない職業で金を稼いでいる。ヤクザと戦う事が警察の生き様だと言い切る警察側はヤクザの覇気のなさに憤りを感じ、ヤクザ復活にあの木村伝兵衛が登場する。この辺りは学生運動が鎮火し、活躍の場を失ってしまった機動隊員の哀愁を描いた『初級革命講座』にそっくりだ。
    つかこうへいの描く弱者の目線は在日韓国人、オリンピック補欠選手と様々だが、今作の弱者は落ちぶれたヤクザだ。その弱者を通して国家への批判を声を大にしているのは勿論の事だ。
    今作をただの再演にしているのではなく、つかこうへいのエッセンスを上手く取り入れ、時事ネタ、木村伝兵衛、熊田留吉の息子までが登場してしまうとはつかファンにはたまらない。それに今日子役は『飛龍伝』のヒロインの石田ひかりだ。更に木村伝兵衛の最期まで描いてしまうとは…。
    つかこうへいを堪能した事があるファンには堪らない作品になっている。
    そんな方のみにお勧めしたい作品である。


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    2021/10/23 11:29

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