ドント・コールミー・バッドマン 公演情報 24/7lavo「ドント・コールミー・バッドマン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    観応え十分!
    逃げを禁ずるかのようにして描いた(青春)ドラマ。
    或る状況について時限設定することで、どうなるのか観客の興味を惹きつける巧さ。現下の崖っぷち、今まで逃げの人生のツケ、そして見つめ直すという切羽詰まった状況。チラシのタイトルに小さくー「”残念な人”と呼ばないで」は、悲痛な叫び。その裏返し、後悔しない人生ーといった決意にも受け取れる作品。
    3つの物語が脈絡なく紡がれるが、徐々にリンク・アップしてテーマらしきものを構築していく面白さ。
    (上演時間1時間55分)

    ネタバレBOX

    客席はL字型で、英字の曲がった箇所と対角をなす様な四角い舞台。セットは細長い板を渡し、その奥を高くして喫茶店を思わせる別スペースを設え、丸テーブルと赤い椅子2脚。入り口近くに別ブース、その反対側にポール2本。

    3つの物語…第1は、主人公であるオシム(平井泰成サン)が主宰する劇団の旗揚げ公演の開幕直前の場当たり風景。第2は、主人公・シマダ(河西凛サン)が転校先で苛めを受けるが、担任の女教師が教頭のパワハラで病んでおり苛め対応が出来ない。第3は主人公を苛めていた まめたろ(瀧啓祐サン)が、マッチングアプリで知り合った女性との会話で、自分の生き方が空虚だったことに気づかされる。
    バラバラに展開していくが、視点は当時のまま。回想シーンとして客観化せず、今という時から目を逸らさず逃げない。

    第1の開演直前の話は、この段階で行うことなのかと疑問が残るが、狙いとしてはSMチックな場面で緩い笑いで惹き付ける。一方、主人公が過去から引きずっている優柔不断、自己主張が出来ない姿がメイン。第2の中学時の苛めは、病んだ女性教師が自分の守備範囲を設け、その原因が教頭のパワハラという大人(教師)社会の苛め。親しくなった隣クラスの女生徒も苛めの対象にやるなど、負の連鎖の怖さ。第3は知り合ったばかりの若い女性から、話していても面白くない、”自己”がないことへの鋭い指摘。すべてが逃げに関係した事ばかり。3話は、空間や時間が異なることから現在場面として交わることはしないが、中学3年時の苛めをトラウマとして、その人生再生ドラマとして収斂していく。

    登場人物の濃いキャラ設定が、3話それぞれの面白可笑しさを支えている。最大の魅力は、3話それぞれ単体ドラマに出来るような深味ある内容。それを1つの物語へサラッと落とし込む贅沢な構成。開演迄残り少ない時間設定、30歳前(29歳だった?)で、自分らしさを(舞台で)表現したい崖っぷち…どちらも逃げられない。そんな自己実現に苦闘する姿を誇張して観せる。コメディながらウッとくる苦味。因みに、第2話は中学3年生で卒業迄、第3話の若い女性はこれから別約束あり、といった時間的制約を持たせている。

    そう言えば、舞台でぶつけたかった転売ヤーへの怒りは中途半端に幕切れで気になる。そして劇場で会った2人、中学時代は苛め・苛められの(喧嘩までした)関係だったのに、15年も経つと顔は忘れてしまうのかなぁ、など些細なことを思ったが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/10/16 13:33

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