クロノス 公演情報 LOGOTyPEプロデュース「クロノス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い!
    理屈抜きで楽しむエンターテインメント作品。

    中目黒キンケロ・シアターは、故愛川欽也が「芝居をやりたい後輩のために芝居小屋を建設したい」との思いで建てたが、コロナ禍で上演が厳しい状況下で感染対策をしっかり行い演劇界を支える。また、本公演の脚本・成井豊のキャラメルボックス(現在 活動休止中)が復活する情報もある。演劇界に光明が…感慨深い。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台セット、上演前は変形鉄格子のようなものが組まれ、何かを拒絶しているかのようだ。同時に厳格な管理状況下にあると思わせる。開演すると雷鳴、雨音をバックに左右に開らく。内側は、中央奥に巨大な歯車状(一部欠損)のオブジェが立ち、上手側にソファ、下手側に事務机、全体的に企業オフィスといった場所。もっとも冒頭は科幻博物館?と言っており、ここの館長と職員が物語の進行役(ラストは衝撃的な正体)を務める。

    物語は、中央奥にある歯車のような機械が、物質を過去に飛ばす「クロノス・ジョウンター」。主人公・吹原和彦(南翔太サン)は研究員として、この機械の開発に携わっていたが、2006年11月27日午前、会社の近くの交差点でタンクローリーが横転し、角の花屋に突っ込む。そこには、吹原が中学時代から思いを寄せていた女性 蕗来美子(辻美優サン)がいた。吹原は、彼女を助けるために事故直前へ自分自身を送るが……。

    過去を変えると現在や未来に影響が出るといったタイムパラドックスの理屈、それを回避するよう帰還時点を先(未来:初めは7か月だが数年単位)へずらす。時間軸に沿って過去へ移動した場合、因果律との関係が生じる可能性があるため、その直截的な影響を見せないための工夫か。

    事故直前の過去に遡っても、なかなか彼女を助けられない もどかしさ。立ちはだかる「時間流」という壁、そして未来から来たという、にわかには信じられない過去にいる人との認識違いといった諸々の問題を見せることで観客のハラハラドキドキ感を誘う。クロノス・ジョウンターから弾き飛ばされ舞台中央に転げ落ちる姿が痛ましい。ただ、過去に行くのが複数回になり、緊張感が薄れてくる感じも否めない。
    一方、吹原の強い思いと同時に、彼の周りにいる人々との葛藤も生じる。特に家族(両親)は本人が過去に行っている間は、消息不明状態になり手を尽くして探している、それを妹さちえ(難波なうサン)の悲痛な叫びとして訴える。周りの制止も振り切り過去へ...。ラストは明かされない。

    展開は現在・過去を往還するが混乱することはない。過去に居られる時間はわずか、助けるための行動はアップテンポで手に汗握るが、クロノスに係る説明は分かり易い説明調といった緩急ある演出で観せ方も上手い。演技は、笑いや涙を誘い、激高で現実へ引き戻しといった感情の揺さぶり。あえてオーバーアクションといった魅せるサービスもあり好感。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/10/10 15:07

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