実演鑑賞
満足度★★★★
家族…一律には語れない内容、それを父親を悪者(実際いるだろう)に仕立て親・子の関係を切り口に描いた秀作。血の繋がり、子にしてみれば親は選べない。切り口を抉ってみれば憎悪の塊だったか?表層の面白さ、その奥にある味わい深いさに酔いしれた。
俺が働いて食わしてやっているんだ、女房・子供は言うことを聞け。妻(家内)は、家の中だけのことをやっていればいいんだ!…そんな夫であり父の絶対的力、傲慢な思い、悲哀は後からついてくる。一方子供たちは、そんな父親の傲慢な態度に辟易し憎んでさえいた。本作は父親の独善的な考えを前面に出し、それに対する子供視点で描いている。子の憎まれ口を通して父親像を浮かび上がらせる。同時に父親の思(重)いも付いてくる。
シンプルなセット、キャスト5人という少数ながら、家族 特に父という家庭内の独裁者とどう向き合うかを体現。たしかに「少しだけ温かくコミカルでそれでいて胸に刺さる」見事な作品だ。
この父親を反面教師にしようかな、あっ時すでに遅しか。
(上演時間1時間40分)