実演鑑賞
満足度★★★
古代、人々は恋を知らなかった。はやり病(胸が苦しい、味がしない等コロナっぽい)で卑弥呼が死ぬ。地下の墓所で、ヒ(火)族、ミ(水)族、コ(木)族が通夜の宴会。すると、部族を超えてよく似た別のはやり病(=恋)がみるみる広がり、男と女、男と男、あるいは女と女が「胸を痛め、食事の味も感じない」ほどの恋に落ちる。と思うと、墓所の出口が大石でふさがれて出られなくなり、恋患者は伝染性があるとして隔離される。救護班が結成され、未来に発明されるスクリーンで、離れていても会話ができるようになり…。
奇想天外、荒唐無稽な物語で、よくもこんなバカバカしい話をと思う。見どころは5元多発同時ループの宴会場面や、インチキ言語の伝言ゲーム、短いコントの連続のようなギャグ、ダジャレ、愉快なマッピング映像等々を舞台で目撃・経験することにある。様々な仕掛けを、おもちゃ箱をひっくり返したように盛り込んで、唯一無二の天野天外ワールドを作り上げる。3年ほど前に新国立劇場で初めて見てびっくりしたが、二度目の今回は少しなれたのと、舞台の条件が新国立ほどよくないので、少しアナログ的でおとなしい。
換気のためと称して、流山児祥氏が3度乱入。最後はヒ族の長と師弟対談を始める。「青山の全共闘副議長がいまや演出家協会会長。トップになって、あんたも変わったね」というやり取りは楽屋ネタだが面白かった。2時間10分休憩なし