風の市 公演情報 激団リジョロ「風の市」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    開演と同時にナチュラルな関西弁の激突。猪飼野が舞台の作品である事と合わせ関西発の劇団と推したが、プロフィールだけでは不明。「ハードコア」を謳い役者に徹底した負荷を強いるパフォーマンスが売りというから、関西弁の台詞も訓練の賜物?等とも想像してみたり。作=金哲義も出演しているが他劇団。こちらは関西だろうと推す。
    在日家族の喧しい食卓の会話は激烈である。総連、民団の話も出てくる。役者の殆どは日本人だろうがこの「空気」の再現の度合には舌を巻いた。この題材の芝居にはコメディオンザボード「イカイノ物語」、趙博の「風の仲間たち」と思い出すとやはり関西である。日本アパッチ族を描いたシライケイタの「SCRAP」に感じてしまう不満は「在日らしさ」の足らなさだ。(その中間と言うと「役肉ドラゴン」、話の舞台も作者の出も関西だが地元臭はないのがこの作者の特徴。)
    粗削りな部分も含め「よくやってる」集団。コロナなんぼのもの、と忘れさせる勢いに飲まれた。

    ネタバレBOX

    好みで言えば、関西産に多いが大団円がしつこい。ドラマは済州島からの密航者がある家族と暮らす事になり、騒動を巻き起こすが、やがてこの男・ソンジンの人間性、来歴が明らかになる。この存在は日本の日常感覚では違和感の塊だが、最終的には欠落部分を補完されたように感じる。観客は顔面を叩かれるような強風を浴びる事になる。
    欲望に忠実な強引さは「血と骨」の父(俊平)のキャラを連想させるが、一つ「?」は彼の来訪を受ける家族は母を早く亡くし、7人兄弟姉妹が末期がんで入院中の父を時々見舞っているが、姉弟らはソンジンに対し、「チャグナボジ(小叔父)を見舞わない」事をなじる。彼らはソンジンを遠い親戚(いとこ)という認識で、居候するなら親戚の叔父を見舞うくらいやれ、と訴えているのだろうと見ていたが、結局はどうだったのか、解読しきれなかった。語り手にあたる末っ子は「焼肉ドラゴン」の末っ子に通じ、「家族の物語」を思わせ、大団円も「その後」を割と丁寧に描写する、そうであるならば、という要求でもあるが、むしろ私としてはそのあたりは捨象してよく(5人の姉が既婚か未婚かも判らず・・未婚と思しいがそれならその事に言及する台詞は一つ欲しい)、ソンジンという男がいた。その後、あれこれあって音信もない・・くらいで切り上げ、「存在」を印象的に残すのがまあ好みの問題だが、良かったかな、、と。

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    2021/09/29 08:59

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