実演鑑賞
満足度★★
この劇で「あたらしい憲法」とは自民党改憲草案のこと。その制定後の国をイメージしたような島で、あたらしい人物が現れるごとに、話が変わっていく。公益、不断の努力、がキーワードで繰り返され、個人より公優先の自民党的国家観の世界。
途中から、指導者がもう一人現れ、国が二つに割れて国境を引く。その狭い拾いをめぐって、はっか飴を投げ合う戦争に。そして「間違いを繰り返さないように約束しよう」「また間違えたら思い出そう」となる。この展開は現憲法を連想させる。
つまり途中で含意する憲法が入れ替わっていた。前半は憲法批判と思っていると、最後は護憲のようで、何が言いたいのかわからなくなってしまう。(柴幸男の最初の戯曲がネットにあり、読むと、後半の展開はこちらに依拠していた。ズレを感じたのは、現憲法を踏まえた柴の原作と、改憲草案をイメージした前半の改作部分を繋いだせいだと思う)
途中何度もラテン系の外国人学生が現れて「オレは自由でいたい」「仲間になんてならない」と去っていく。外国人に対して閉鎖的な日本を象徴していた。閉鎖的で内向きな日本というイメージが、見終わったあとに残った。