満足度★★★★★
SFファンタジー風味で描く,日常に潜む人の悪意が怖い。
SFやファンタジーの世界を借りて、人の心に迫る独特の世界が得意な、前川知大さんと彼の主催するイキウメの再演作。
「ドミノ幻想」では、世界はある特定の人間を中心にして回っていると考える。
本人が意識しなくても、周囲の人間の運命はその人物が思ったように回り始めるという…。
話の冒頭から、日常生活に「人の悪意」が静かに迫ってくるジリジリとした恐怖が感じられて、観ていて気が気ではありません。
これがあまり強いと、わざわざ観るのも嫌になってしまうところ、それでも好きになって次が観たくなるのは、そこに”救い”が用意されているからか。
意外なラストもまた面白い。
この話は、やはり舞台でしか、イキウメでしか、味わえない独特の感動です。
今回は、ともさと衣さんの狂信的な信念を持つ役が印象に残りました。
鴻上尚史主催の虚構の劇団所属・大久保綾乃さんも好演でした。