沙也可 公演情報 (株)フリーハンド/(有)Yプロジェクト「沙也可」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     タイゼツ、 ベシミル!! 華5つ☆

    ネタバレBOX

     文禄・慶長の役のことは歴史に出て来たから皆さんご存知だろう。秀吉の命によって2度に亘り朝鮮出兵をした歴史的事実を指す。今作は、この時代に実際に起こったことをベースに創られた物語である。日本も戦国時代勝敗は敵の首級をあげることによってその証としたが、文禄・慶長の役では耳・鼻を削いでその証とした事実等も織り交ぜリアリティーを細部に於いても表現している。が、大局を判断する為政者としての目論見がオープニング早々、秀吉と家康の対話で示されている点でも極めて筋の通った脚本であり、その後何度か出て来る秀吉・家康の対話でも各々の性格が見事に対比され関ケ原から豊臣滅亡迄の将来を見事に織り込んでいる。
     戦記物の側面がある舞台だから殺陣のシーンも多いが分割・可動型の階段を上手く移動させ実に合理的に殺陣のスペースを確保している舞台美術も素晴らしい。無論、極めて機能的に創られた舞台美術だから、シーンに応じて照明・音響がその場の雰囲気を見事に醸しだす。殺陣を演じる役者陣の体捌きもスピード感、切れがあってグー。居合の達人も登場するが、この居合術も中々のものであり、沙也可を含め傑物が意気投合するシーンにその後の因縁の対決に連なるシーンがキチンと埋め込まれている点等もこの脚本が極めて高いレベルで練られていることが良く分かる。
     この時の因縁こそ、沙也可が朝鮮族として生きる道への布石になっている訳だが、これに恋が絡み、敵対する民族の殺し合いが負わせた人々の無念、取返しのつかない大切な人々を失って行き所の無い怒りや悔しさ、断ち切れない未練が日本に襲われた村の多くの人々の魂を苛み続けることからくる敵との恋に落ちた村人への非難となって、村の娘の命の恩人ではあるものの、敵である日本人との間に成立した恋に対してアンヴィヴァレンツの苦しみを担わせる。このリアリティーが観客の心を実に深い所から撃つ。
     また実際付き合ってみれば分かるが、未だに朝鮮族の情の厚さは本当に深く、今作に描かれた通りであると実感させられた。恩に対してはキチンと恩返しをする義理堅さも彼らの民族的美質である。
     終演後、舞台上の挨拶に沙也可の末裔の方が登場して挨拶をなさった点、韓国では教科書に載る程沙也可が評価され記念博物館も存在しているなどの話をしてくださった。キチンと架け橋になって下さっていることに心からお礼を申し上げる。

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    2021/09/11 12:51

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  • 皆さま
     コリッチにアップしておきました。ご笑覧下さい。
                      ハンダラ 拝

    2021/09/11 13:39

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