実演鑑賞
満足度★★★★
圧制者が人々の自由を奪い圧制者に忠実な奴隷にしてしまおうとする恐怖政治は今でも現実に日本の周囲でも起こっており、それを想起させるカミュの戯曲だが、よく観てみると、デスノートみたいなものが出てくるし奇想天外なところがある。そういえば、カミュには「ペスト」という小説もあるが、本作のペストは悪魔のような圧制者。
主人公とペストによる大衆の醜さに関する舌戦は今ひとつ噛み合っていないように感じた。
建設現場の足場みたいなものを組んだ高低のある舞台や4つのディスプレイはシンプルだが効果的に活かされており、実力ある俳優たちのプロらしい演技でベタになりそうな場面や所作でもしっかり水準を保ち鑑賞に堪え得るものになっているのはすばらしい。