実演鑑賞
満足度★★★★★
#小松台東
#デンギョー!
ウイルス感染予防としてではなく、人間関係には適切なソーシャルディスタンスはある。実質的な距離を保つことと同様に、関わりや関係性における適切な距離というモノも存在し、それを保つということも良好な人間関係には必要だと思われる。それは壁と言い換えてもいい。自分の心や生活を守る城壁。それを越えて踏み込むこと踏み込まれることには恐怖を感じる。多くの人が他者のことに興味津々ではあるけれど、上手に見て見ぬふりをし無関心無干渉でバランスをとる。実生活ではそうやって衝突を回避しながら生きているものだ。しかし、ココの人たちは違う。その城壁を飛び越えて懐に入って行き入って来る。飛び越えて相手に関係を迫る原動力は愛に他ならない。
人間に…仲間に…人生に…向き合うのか、そっぽを向くのか。
ここに集まった人は、みんな向き合う。ひとりひとりが皆、人生という舞台の主人公なのだということを思い出させてくれる。それほどまでに、全員が素敵で、全員に存在意義を感じ、ここで語られないドラマを生きてきた人間として確かにそこに存在した。
気になるのは、今作のJOKERとも言える、最後までヒール役を貫くスズキの存在。このシリーズでずっと憎まれ役を演じ続ける #瓜生和成 さんのタフネスに敬服する。
人と生きる上で、やはり挨拶は重要だなと感じさせられる。流されれば絶望や孤独が胸に刺さり、交わされれば安堵と喜びが胸を満たす。乾いた心が一瞬で潤う。市井の人々を応援する演劇が、また一つ誕生した。いや、再演だから…「成長した」と言った方がいいだろうか?
それにしても、特筆すべきは #吉田電話 さんの素晴らしさ。彼が演じるイワキリがそこにいる自然さが愛すべき世界だ。奇しくもパラリンピック開催期間に上演されていることに感謝し、この世界が、素晴らしき愛すべき世界に近づけることを願う。