Le Fils 息子 公演情報 東京芸術劇場「Le Fils 息子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    2019年の「父」が評判であった同作者による新作、タイトルもずばり「息子」は「母」に始まる三部作の三作目だとか。「ある息子」でなく「いわゆる息子」への眼差しのある、特殊と言えば特殊だが変哲のないと言えばよくある思春期の子と親の物語。フランス人演出舞台は初。演出は淡々とシーンを折り重ねて行く。人物らが渦中にある感情を観客は「演技を介した」記号として受け取る。だが感情移入を排してもそこに「ある」ドラマが、否ドラマのドラマたる所以が、やがて姿を現わす。
    舞台を思い出しながらなぜかふと過ぎったのが映画「花様年華」(内容は全く違うが)。幾度も繰り返されるアンニュイなワルツと、どこか覗き見るような(思いきり寄っていようが変わらぬ)カメラの「眼差し」は、この舞台で言えば・・・簡素な装置(十分に「家庭」である事を教えるパーツはある)の無機質な転換の形式が、「実験台」に置かれた人間たちとそれを眺める観客との関係をやんわりと作り、音楽はどこかで聞いたクラシック曲が各場面に当てられ、微かな感情移入を助けるが逆に「いかにも」なニュアンスも湛えて微妙~な線を行く。(場面に寄り添いながらも、一定の距離をとっている感じ。)
    お話についてはまた後日。

    0

    2021/09/01 08:48

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大