実演鑑賞
満足度★★★★
雰囲気のある会場(初めてだが、気に入った)を活かした感覚劇。色々な意味で間口も広いが奥行きも感じられる内容。
脳損傷で15年間眠り続けていた「無動無音症」の男が、ある治療によって出現し出したインナートリップの世界観。設定はアメリカ映画「レナードの朝」に似ている。その世界観は会場アトリエ第Q芸術の構造を上手く活用した「こっちの世界」と「あっちの世界」を行ったり来たりする不思議な感覚。
登場人物は、主人公の男を中心に「こっちの世界」と「あっちの世界」の意識の変化によって、周りの人物が表裏関係として現れるが、そのイメージは地上と空中といった独創的な空気(浮遊)感で観客の意識を不思議と刺激する。しかし油断をしていると、そっと絡むような寓話性を持ち込み、立ち止まり考えさせる手強さもある。
(上演時間1時間40分)