神様はつらい。 ご来場ありがとうございました。 公演情報 演劇ユニットG.com「神様はつらい。 ご来場ありがとうございました。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    雰囲気のある会場(初めてだが、気に入った)を活かした感覚劇。色々な意味で間口も広いが奥行きも感じられる内容。

    脳損傷で15年間眠り続けていた「無動無音症」の男が、ある治療によって出現し出したインナートリップの世界観。設定はアメリカ映画「レナードの朝」に似ている。その世界観は会場アトリエ第Q芸術の構造を上手く活用した「こっちの世界」と「あっちの世界」を行ったり来たりする不思議な感覚。
    登場人物は、主人公の男を中心に「こっちの世界」と「あっちの世界」の意識の変化によって、周りの人物が表裏関係として現れるが、そのイメージは地上と空中といった独創的な空気(浮遊)感で観客の意識を不思議と刺激する。しかし油断をしていると、そっと絡むような寓話性を持ち込み、立ち止まり考えさせる手強さもある。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    場内は舞台側と客席側を二分するようにアクリル板で仕切る。少し揺れるたび、角度によって客席側が映り込むと不思議な感覚になる。舞台は病室内、ベットに寝ている男(古口圭介サン)のところに医者、看護師、マスコミ=「ザ☆密着」の人(インタビュアーとカメラマン)が来るところから始まる。先に記した「無動無音症」の医学的説明を映像で表す。この映写、後々 会場の庭を利用した世界観の広がりにも利用する。それは病室という閉鎖的な空間と外の広く自由な世界を対比するかのような効果を示す。

    ある覚醒実験(成功率7%)によって、男は短時間だが眠りから覚める。「10000年後の世界で神々と宇宙滅亡の危機を救う実験をしていた」という妄想のような言葉に驚く病院関係者。夫々の世界観(「こっちの世界」、「あっちの世界」)で登場するのが医者=コルネイ(佐藤晃子サン)、看護師=ダンプ運転手(園田シンジ サン)、インタビュアー=イエス(根本こずえサン)、カメラマン=ブッタ(辻井彰太サン)で1人2役を演じる。時に「EXILE」の「Choo Choo TRAIN」のイントロ部分での振り付け(タイミングをずらして上半身を螺旋階段状に回すパフォーマンス)を見せるなど、緩い笑いを誘う。

    物語は、漂流しながらも「こっちの世界」と「あっちの世界」で生きるのか、男の生き方を巡る選択の問題へと流れていく。10000年後の世界は滅亡の危機と言いつつも、終わりはないという。しかし、看護師から「こっちの世界」は「終わりがあるから、生き甲斐も遣り甲斐も感じられる」、一方 「あっちの世界」は「永遠ならばモチベーションが保てるのか」といった問い掛けをする。何でもありの苦労なしは、生きている証をどう捉えるのか、と言った寓話的な問答。男の下した判断とは…。

    本筋に関係が有るのか無いのか、さり気なく面白可笑しいネタを入れてくる。イエスとブッタ(衣装もそれなりに着替え)が大道芸人といったフェイク(「あっちの世界」にもコンビニがあるのか)、先に記したパフォーマンス等は小難しくなりそうな内容の箸休め的な演出。役者がシーンに応じて庭で演じる時には、映像で見せるか、中扉を開けリアルに見せる。会場を実に上手く使い、浮遊感(あっちの世界)を額縁演技として切り出す。一方、場内は地に足がついた現実が現れ、空気感の違いを際立たせる。
    あと謎の女(酒井実鈴サン)は…男の潜在意識を性差の違いで表現したのであろうか、疑問だぁ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/08/27 07:14

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