丘の上、ねむのき産婦人科 公演情報 DULL-COLORED POP「丘の上、ねむのき産婦人科」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    DULL-COLORらしからぬハートウォーミングな(他に想像のできぬ)タイトルが、一つの謎掛けである。
    蓋を開ければ・・包摂を旨とする「ねむのき」のイメージそのまま。だが語られるのは「場」ではなく、医師も看護師も登場せず、場を訪れた夫婦(カップル)数組のエピソードが綴られていく。
    「妊婦」という縛りが窮屈に感じない普遍性、「新たな命」といったありきたりな感動のパターンに収めない、不思議な手触りの舞台であった。
    タイトルは「守り」でなく「攻め」。私なりの謎解きだ。

    ネタバレBOX

    男女入れ替えの回であった。当日の谷氏の説明を聞くまでこの趣向を知らず、当日は入れ替え版の初回と聴いて不安が過ぎった。全てカップルの話なので(周辺人物はほぼ女性で、男優が女装で登場という案配)、双方が逆をやるのだが、通常バージョンではこれが入れ替わるのだな、といった想像・想定をしながら見ていた。そう見てしまう時間が長い。という事は、違和感を解消・フォローしようと色んな想像をする余地があるという事。感情移入したり、ナチュラルな「現象」として芝居に見入る観劇にはなり得ない。
    試みの限界について考える意味もあるだろうが、その中で不思議と納得させられる「現象」を見る時間もあった。男優がどうしようもなく男の身体と風貌を持ちながら、女を代弁する尊い使命を感じさせる瞬間である。女が男を代弁する事の方が難易度が高く見えたが、中には身体をニュートラルに、男を代弁して見えた場面もあった(もちろん男一般のイメージでなく特定の人物として)。
    ジェンダーの考察より前に、役者の「演技」の考察へと導かれる。高校生がお婆さんを演じて成立する芝居もある。老優が少年を演じるという事も。性を違えた役を演じる事もそうであるし、動物を演じたり、逆に人形に人格を仮託するという表現は成立する。この謎は、深い。

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    2021/08/15 23:46

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