Who’s it? 〜ニューヨークの日本人〜 公演情報 feblaboプロデュース「Who’s it? 〜ニューヨークの日本人〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    アメリカ・ニューヨークで英語禁止!…たかが言葉、されど言葉である。言葉の底には文化が透けて見えるという奥深さ。公演は「ニューヨークと歌舞伎町って似てる」みたいなところから始まったらしいが、物語の随所にそのようなシーンが登場する。
    ニューヨークにあるアパートに闖入した日本のヤクザとこの部屋に出入りする人々の会話を通して浮き彫りになる居心地の良さ、自由な雰囲気、そして自分らしさ とは…笑いと苦みと少し切ない物語。短編だからこそ早い段階で引き込む興味・魅力付は上手い。
    (上演時間70分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、ベースを四角に区切り部屋を出現させ、そこにソファとテーブルを置いたシンプルなもの。客席はL字で、2方向から観劇可能であるが、舞台と客席が対角に設えているため、どちらから観てもあまり変わらないと思う。

    日本のヤクザ・輪島真司(長野耕士サン)がソファに座り、このケイ(寺園七海サン)の部屋に居る人々を制圧しているところから始まる。自分は英語が話せないため英語禁止ルール、そして外部との通信手段である携帯電話等をテーブルへ出させる。にも関わらず次々に友人等が訪れるため、手負いヤクザの苛立ちはピークへ。

    2021年、ニューヨーク州での大麻合法化を背景に、その社会的なことを日本(人)との対比を意識して描く。輪島は対立組織と大麻を巡って諍いを起こし、銃で撃たれこの部屋へ。ニューヨーク州では、合法化以前の大麻取締まりにおいて人種差別(白人と黒人等)が著しく、それが検挙率に表れていたと。台詞にもあるが、警察での取調べでも差別的なことが多い。日本では描きにくいことをニューヨークに設定することで大麻に絡めた問題(差別)意識を描く。もちろんニューヨーク州における大麻合法化は、雇用・税収の拡大や人種差別の縮小といったメリットの説明も忘れない。
    また、この部屋の住人達、集まってくる友達の言葉から、アメリカと日本の生活、文化、そして暮らし方そのものの違いが吐露されていく。例えば、日本人留学生はネイティブでない(英語)発音に悩み、意思表示・疎通に支障をきたす。一方、日系3世ともなれば、同じ日本人でも意識がアメリカに近い。日本人は仲間意識、協調性の重視という雰囲気にホッとする、など異国という設定だからリアリティを感じさせる。

    先の社会性に日本人という個性というか特徴を さり気なく描き込み笑いの中に「意識」という問題を潜ませる巧みさ。
    ラスト、輪島がケイに英語で「さよなら」は何て言うのだっけ?というのに対し「see you again」と回答。輪島曰く、自分でもそれくらいの英語は解る。そしてケイに改めて別れの言葉を英語で言わせる洒落たシーンが印象的だ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/08/08 17:04

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