実演鑑賞
満足度★★★★
個人的に「来た!」芝居に時々☆5を付けているが、今回は5に近い4。(欠けは聞こえない台詞。聞こえなくても成立する芝居もあるが「ここは聞こえたかった」場面が二箇所ばかり。)
数年前の初「普通」観劇から随分間が空いたが、このクオリティまでの成長は自分的に驚きではある。以前観たのは少人数、短めの芝居で「静かな演劇」の変異株、模索する若手走り出しのユニットという印象であったが、今回先行して配信のあった短編が茨城弁のそれでツボにはまった。「病室」も、ほぼ全員が茨城弁で通している。
言語にはその特徴が表れる瞬間に言語共同体の文化、感覚が発露するという事がある。方言も一言語なれば、厳密な意味で翻訳不能の領域がある。この芝居にも、恐らく作者が茨城弁でしか思い描けなかったシーンが織り込まれている。異文化との遭遇は80年代を最後に激安本並みまで値が下落している模様だが(とって付けたようなダイバーシティだのヘソが茶)、言わばエスニックに触れる美味しさで、今まで見なかった(けど分かる)感覚、心情、場面が、眼前で展開するのが楽しい。
死と無縁でない、「病気」が話題になる場所が、辛気臭さを受け入れた(デフォルト化)時に訪れる風景の見え方だろうか、とも想像する。とにかく笑った場面を反芻してまたにんまりである。