実演鑑賞
満足度★★★★★
なかなか一言では言いにくいほろ苦い面白さがあった。身に覚えのある感情がいくつもある。三浦大輔の芝居は2008年に本多劇場で「顔よ」を見て以来。かつては舞台上で男女の行為を赤裸々に演じるので賛否両論を起こしたが、今作ではそこはおとなしめ。でも岡田将生とヘルス嬢・日高ボブ美の濃厚なシーンはしっかりある。
「おっぱいパブ」で偶然であった高校時代の知り合い(岡田と峯田和伸)。居酒屋に行くが、全く話は弾まない。絡んできた酔っぱらい(星田英利=はまり役)を張り倒したら、頭を打って動かなくなってしまった。「殺したか」とあせるが、自分たち二人がドラマの主役になったような高揚感を覚える。一緒にいた友人、恋人は脇役扱い。この、変な主役気取りが面白い。
岡田の(ダメ男を演じても)美しい立ち姿とと、峯田の見るからにダメ男のうらぶれ感の組み合わせがよかった。奥にゴジラビルも配した歌舞伎町(ゴジラロード)のセットが良くできていた。それぞれの店のセットが回転して、裏側になると、店内になる。それが、ヘルスだったり、スナックだったりと、内装を変えて店を違える。表側も、右から見せるか、左から見せるかで、全く別の店になるところも良くできていた。シンプルな通行人の映像で雑踏を示し、深夜になるといなくなるという時間の示し方もわかりやすかった。