悪魔をやっつけろ ~COVIDモノローグ~ 公演情報 燐光群「悪魔をやっつけろ ~COVIDモノローグ~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     原題はBEAT THE DEVIL英国のデヴィッド・ヘアの作品であるが、彼自身の闘病記と医学・生理学的知見と実際に行われていた政治的・社会的状況が描かれる。今回日本での上演は板上に会議用のテーブルを置き、テーブル上にはペットボトルとコップ、そして一脚の椅子という朗読に必要最低限の物だけを置いた。演者・演出共独りで担った坂手 洋二氏の朗読公演の形を取るが、開演直後前説代わりに演者本人がマスクを付けた状態で今作が2020年秋にロンドンのBridgeTheatreで世界初演を迎えたこと。その時の俳優名、900席程ある席でソーシャルディスタンスを取って大幅に観客を減らし演じられたこと等が説明された。朗読時は、PCR検査で陰性が証明されて居た為、マスクを外しての朗読。観客席最前列は、着席不可で1人も人は座っていない。今後の公演予定は劇団HPで詳細を当たって欲しい。先ず、第一稿を載せる。

    ネタバレBOX


     因みに今作の原作者・David Hareは2020年の3月に実際に罹患しており、その時の体験が盛り込まれることにより、階級・階層間差別問題、科学(殊に医学・生理学・免疫学等)の真摯な研究と忠告/WHOによるパンデミック勧告軽視及び無視を為し初期対応を全く誤った。政治の誤りというより欺瞞性が、それを率いたジョンソン自身の罹患によって大きくメディア報道そのものを変えた。(ジョンソン罹患以前は敗者の病とされ下層階級を占める諸階層特有の病とされていたことが、ジョンソンの罹患によりミドルを含むアッパーを包含、白人それも男性「エリート」も罹る病として漸く事実認定され、社会化された)事実をアイロニカルに描いている点にも見られる。
     日本でも児玉龍彦氏が国会に招致され証言したが、意識的議員の招致にも関わらず、児玉氏の正鵠を射た指摘は悉く無視され、その後の爆発的感染を招いたこと、その責任が政治の無能そのものにあるにも関わらず、肝心な指摘や、野党の真っ当な質問にも一切キチンとした対応をせず、鵺そのものとして機能している日本政治の姿は民主主義そのものの否定を表していることが明らかである。現在、多用される緊急事態「宣言」が非常事態「宣言」に変わった時、日本政府が何を為し得るかが上演後指摘されたが、考えてみるが良い。優れた演劇もまた、社会を映す鏡である。今作の緊急上演が何を懸念しているか、念を馳せるべきであろう。

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    2021/08/01 04:59

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