29万の雫-ウイルスと闘う- 公演情報 ワンツーワークス「29万の雫-ウイルスと闘う-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    10年前に起きた畜産界のウイルス・パンデミックを、コロナにぶつけてきたな。だが所詮別物だ...というのがチラシを見た正直な感想だったが・・。十年前宮崎県で感染爆発を起こした口蹄疫を見事に「現在劇」化させた。
    ただしこのドキュメンタリーシアターには10年の来歴がある。2010年口蹄疫禍発生、大量の殺処分により数か月で終息。これの舞台化を劇団ゼロQ(宮崎)の岡田心平氏が企画、氏は2011年で故人となるが数十人から聞き取った証言を元にこふく劇場(宮崎)永山智行氏構成・演出で2012年初上演。その後2015年演出に黒木朋子(宮崎)を据えて再演の際、監修として古城氏関わる。昨年古城氏構成・演出による当地での上演を経てこのたびのワンツー・ドキュメンタリーシアター公演となった。証言の多様さ、生々しさは「当事者」による舞台化の賜物であり、劇の完成度は10年にわたる製作の成果である事は間違いない。

    一地方の一時的な事象として、当時マスコミで伝えられていた記憶はあるが、そう言えば「○○地区全頭」「数万頭」といった殺処分される牛豚の多さに僅かながら違和感を覚えたのを思い出す。テレビ報道だけでは知る事のなかった背景と当事者の心情が目から鱗が落ちるように体に入って来た。
    「証言」で構成される演劇が、ドラマティックに、しかし「事実」から離れずに成立するばかりでなく、現在の状況との間に一筋の(雑草に覆われて所々見えなくなってる)小道が伸びているのを感じる。「現在が語られている」事こそ演劇の醍醐味。しかと脳に刻んだ。

    ネタバレBOX

    ワンツーワークスの表現法に「慣れて」きた感あり。もっとも役者の方は昨今は大半が客演、今回も役者の堅実な仕事が印象的。
    幕開き、牛の飼育小屋内部の仕切りの向こうに一列並んだ姿は壮観。多くの証言者たち。「社会」の広がりとそこに暮らす「個」の存在が視界におさまる数である。劇中、防護服の人間が何度も登場するが、今これを見て原発事故を連想しない自分に気づく。今はコロナ禍での風景にも重なる。
    ラストは再び全員が一列に並び、防護服姿となる。人間と「その安全を脅かす者」との対峙の象徴となり、様々な考えへ誘う。

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    2021/07/22 13:17

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