実演鑑賞
満足度★★★★
「朝、私は寝るよ」…珠玉作。
不倫している男と女のチグハグな言葉、あえて真面目な会話をしたくない微妙な心理が透けて見える。舞台となる(彼女の)部屋をそっと覗き、上品?な痴話喧嘩を楽しんで観ている気分。しかし、まぁ男と女の立場というか身勝手さが露骨に表れ、それが何故か共感し会場内にクスッという失笑が漏れる。
男が取り繕う自分よがりの必死な姿、それを眺める女の醒めた表情、その対比が絶妙だ。そもそも男は何の話があって彼女の部屋に来たのか、といったところは寝ているような。
公演の魅力は、脚本(設定はありふれているが台詞が面白い)の力、演出の巧みさ、そしてそれらを体現する役者の演技力が素晴らしい。男(綱島郷太郎サン)の身勝手、情けなさといった二面性、女(今泉舞サン)のチャーミングで魅惑、そして哀愁漂う二面性、その表現力が公演を支えている。
(上演時間55分)