実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/07/06 (火) 14:00
座席1階
チョコレートケーキの古川さんによる「その頬、熱線に焼かれ」以来のオンナナ舞台。「七フェス」と銘打っているから底抜けに明るいお祭り騒ぎかと思いきや、映画は「その頬」にも負けるとも劣らずシビアな内容に少したじろぐ。ただ、舞台の方は、別役実かと思う場面もある不条理劇ふうの作品で、最後は歌やダンスもあって明るい舞台に仕上がっていた。
短編映画「うまれる」と二本の演劇で構成される約2時間の舞台だ。
まず、短編映画。下北沢の小劇場で映画を見るとは思わなかったが、この映画は強烈だ。いかにもありそうなシチュエーションとともに、「うまれる」というタイトルによる、「女」をテーマにしたかなり厳しい内容である。生まれる子ども、いじめで奪われた子どもの命。女には月に一度の出血があり、それは子どもを産むための生理であり、苦しみの末に生まれた子どもが血を流して亡くなる、そして女である母親はー。
この一本だけでもかなり見ごたえのある中身である。
5分間の換気休憩を挟んで舞台となるが、何の脈絡もなく映画から舞台へと移行したかのように見えるが、そこにはやはり、「女」としての血が流れている。青年座の尾身美詞の甲高い声がとても印象的だ。7人がそれぞれ、うまく持ち味を発揮している。
終演後「面白かった」の声が客席のあちこちに出た。「七祭(ナナフェス)」というタイトルの意味はやっぱり少し不明瞭だが、新劇の老舗劇団出身メンバーで作っているだけに、演技の迫力が違う。それは短編映画でも舞台でも違った角度から楽しむことができる。