HATTORI半蔵Ⅳ 公演情報 SPIRAL CHARIOTS「HATTORI半蔵Ⅳ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    チラシには「幕末の半蔵見参‼ 日本史オマージュストーリー!」という文字が並ぶ。この六行会ホールは品川区の財団設立。品川区立図書館が隣接しているが、その書架に「幕末♢明治の偉人たち」というパンフが置かれ、偶然にもこの公演に登場する人物が紹介されていた。そんな所縁の地で上演された公演の見所は、キャストの身体能力を駆使した演技(特に殺陣)、それを観(魅)せる舞台技術であろう。
    キャストの熱と力の入った演技、スタッフの手際よい対応、そのサービス精神が公演全体を好印象にしている。
    (上演時間2時間40分 途中休憩10分含む)

    ネタバレBOX

    舞台美術は段差を設け、中央に襖、左右対称に障子戸がある。絵柄は薄墨色の浮雲で、そこにプロジェクションマッピングでシーンに応じて背景を効果的に映し出す。また目つぶし照明、レーザービームなどの技術を駆使する。一方、音響も和/洋の楽器(尺八・三味線、ピアノ等)をこれまたシーンに応じて使い分けし、時にSEも交えて独特な音響効果を発揮する。この舞台技術が長尺の物語を飽きさせずに支えている。
    また、殺陣と集団剣舞という観せ方の違い、和装の華やかで優雅なビジュアル、その観(魅)せる演出サービスの好感度も高い。

    梗概…和の国“ジパング”、鎖国を続ける幕末時代。新たな時代=開国を目指す「飛竜革命開国軍」と幕府を存続=鎖国を守ろうとする「鎖国の虎・新選組」の争い。その争いに忍術が使われていたところから物語は始まる。代々幕府の要(老中)職に就きながら、訳あって今では市井の髪結い床(屋)になって平穏に暮らす服部半蔵親子。が、「開国軍」の中に忍術使いがいたことから争いの渦中へ。忍術は「印」を唱え敵の動きを操り、「解」を唱え術を解く。この時にレーザービームで「印」の結界を表し「解」で壊す(消滅)という視覚効果。同時にガラスが割れるような効果音で臨場感を表す。照明と音響の相乗効果ある舞台技術はなかなか迫力があった。物語は、同じ一族でありながら敵味方になった男(ハンバ)女(ツタエ)の宿命を、といった内容である。

    劇中の台詞・・人生は「楽しく適当に生きるのが楽」VS「言われるまま、何も考えないのが楽」と言い合う将軍と側近の戯言。こんな無責任な為政者のもとでは安心・安全な暮らしは出来ない。さて、11代将軍ヨシノブは、公言の儀において、適任者がいれば誰が将軍職を担ってもよいと。一見、民主主義の発議のように思えるが、そこにはある思惑が…。同時に粛清⇒恐怖政治というどこかで聞いたようなシーンを放り込む。何となく現代を揶揄しているような…。

    「楽市家」での洋食、タロット占い、スロットマシーンという遊び心満載のシーン。同時に物語における重要な位置、「開国軍」「新選組」の双方にとっての情報取集の場でもあるという物語性を引き出す。さらに開国後の”文明開化”の象徴としての未来像を描く。もっとも観劇している今(現代)だから解ることでもあるが。
    公演全体の印象としては、前半の緩い笑いで引き込み、後半は物語性とスピード感ある展開で一気に観せる、といった硬軟あるもの。
    そういえば、2人(ハンバとツタエ)の行く末はどうなったのであろうか?
    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/07/02 08:16

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