「TABOO」 公演情報 TEAM空想笑年「「TABOO」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    主演、アクション指導の有賀太朗氏、開演前の前説を独り延々二十分雑談でこなす見事な話芸。誰かに喋りが似てるなあとずっと思っていたのだが、『見取り図』のツッコミの盛山晋太郎氏だった。舞台が開幕すると文句なしの熱演で圧倒的な力を見せつけ観客を捻じ伏せてみせる。ヤクザに無理矢理スカウトされて演出を強要される無名の俳優役。
    もう一人の主人公、ヤクザの若頭役庄田侑右(しょうだゆうすけ)氏が超カッコいい。ガチガチのヤクザながら初めて演劇に触れ、こんなゾクゾクする世界があったのかと全存在が震えてしまう。キャラが生きている。
    商業演劇の演出家役、身長170cmのモデルもこなす長身女優、真辺彩加さんも美しかった。
    最高なのは怪優夢麻呂氏、三役を演じたのだがそのどれもが作品の中枢を担う重要キャラクター。三役共に観客の心に突き刺さる見事な存在として演じ分けてみせた。こういうプロフェッショナルが一人いるだけで、作品の重みが違ってくる。
    座組の役者層の厚さでホンが目指したものを見事に表現することに成功。

    シマを巡って二つのヤクザ組織が対立。西城組の組長の娘が演劇祭に出演することを切っ掛けに東郷組も参加を決定。演劇による対決にて雌雄を決する事となった。西城組が金に糸目を付けず人気商業演劇の演出家を引っ張ってくれば、東郷組は『宝の原石は小劇場にあり』との信念で名も無き俳優をスカウト。抗争の行方はそれぞれの『ロミオとジュリエット』が握ることとなった。

    かなり才能溢れる脚本で、これを雛形に映画化の企画も持ち上がるかも知れない程。演出はまだ伸び代がありそう。面白いのでお勧め。

    ネタバレBOX

    骨子としては、ジャンプ漫画の『ニセコイ』がモデルか?(対立するヤクザとギャングの息子と娘が婚約させられ、学園祭で『ロミオとジュリエット』を演じる内に心が通い合ってゆく。)

    中盤、展開が停滞し無駄に長くなってしまった感もある。主人公を拉致する意味が殆ど無く、展開上の都合感が強い。

    演劇への情熱に溢れた東郷組組長が突然の病死。意気消沈した主人公と若頭それぞれに組長からの遺言が伝えられる。
    「ロミオは挫けなかった。お前はどうだ?」
    ズバリ決まった名台詞に気持ちは昂揚する。
    西城組組長は「もう舞台をやる必要はなくなった」と演劇祭への参加を取り止め、東郷組の本番中を狙って襲撃。それを迎え討つ主人公と出番の合間のヤクザ達。クライマックスは『ロミオとジュリエット』と抗争の二場面が同時進行していく。

    個人的にはひたすら演劇にのめり込んだヤクザ達の、舞台に懸ける情熱対決の方が面白そうだったが。

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    2021/06/24 23:56

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