実演鑑賞
満足度★★★★
何度も再演されている中津留のディスカッション・ドラマで初演以来十年もたつのに、色あせないばかりか、コロナ禍のもとの中央政権のあやふやで頼りない無責任体制を見るにつけ、このドラマが描いた国民の怒りは地方からふつふつと中央に押し寄せているのを感じる。政治を担うものと国民との乖離は長く言われてきたがいま、それは、一層明らかになっていて、オリンピックを機会にそろそろ手が付けられない状態になっている。
この作者はそれが人間なのだ、と、図式的にならないように多くの作品を書いてきているが、ここに至れば、このドラマも、今こそ見るべきドラマ、という事になる。小さな劇場での再演だが、満席の客席の空気は重かった。