愛、あるいは哀、それは相。 公演情報 TOKYOハンバーグ「愛、あるいは哀、それは相。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初演を観た自分の目にこの芝居が今どう映るのか、あるいは広いステージでこの芝居を今どう演出して見せるのか、との関心につられて観に行った。
    幾分遠い(高い)席では座高円寺は不利なことがある。今回は台詞が聞こえない箇所や、若い女優が扮する人物の混同、「間」に語らせるニュアンスの読み取りづらさ、等あった。ただし(前記二つ目を除き)その根本の原因は、震災・原発事故からの歳月が初演時の倍を超えた今、確実に「当時なら皮膚感覚で共有できた」であろう一つの言葉が持つ含意や風景が、必ずしも一つに集約されない事にあるのでは、と思った。言葉は震災という唯一無二の事件から(良くも悪くも)解放された、という事になるか。
    原発事故に関して、時間経過によって明らかになっている(はずの)事実を示される事で、この歳月の空白を埋めたい(何もできなかった後ろめたさを幾らかでも軽減したい)願望を持つ自分は、震災直後に設定されたこのドラマによって「痛いところを突かれない」事に不足感を覚えてしまう。何とわがままな観客か、という事であるが、それが正直なところで実感である。
    初演とは俳優陣が大幅に変わり、いくつか演出が異なる部分もあった。総じて良くなったと感じる反面、やはりこの芝居は間近で、狭い空間で観たい思いは残った。

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    2021/06/19 02:18

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