お月さまの悪戯 公演情報 劇団CANプロ「お月さまの悪戯」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    設定や展開には工夫を凝らし、興味を持たせようと努めていたが、何となく予定調和でインパクトが弱い。たしかに観劇後は優しく心地よい気分になる。しかし、観念ではなく、もう少し感情が全(前)面に溢れてもよかったと思う。

    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    物語は養護施設で育った女性を中心に、4月に起きたある「奇跡」について描かれる。舞台は茨城県土浦市にある ごはん処「こじま」の2階。ここに養護施設で育った渡辺希望と青木恵子が住んでいる。養護施設で働いていたこの店の女将・小島里香が施設退所年齢になった2人を自宅に住まわせ10年近くが経っている。希望は文通をしており、その相手が藤田奈緒という自分と同世代の女性。そして近々会うことになっていたが…。

    2019年4月上旬から5月初旬の約1か月弱の物語(カレンダー有)。今時のコミュニケーション手段として”文通”は少し古いように感じたが、そこがこの物語の肝。時間を遡行させるような展開であり、後々、文通相手との因果律がみえてくる。概観として、背景にある養護施設育ち、そこでの境遇と今現在の生活環境への連続性というか影響が見えてこない。かろうじて施設育ちの自分(希望)が幸せな結婚生活を営めるのか、彼氏からのプロポーズを素直に喜べないといった悩みが見えること。一方、同じ施設育ちの恵子は窃盗癖があり、それが施設の時から直らないという性癖を時間の流れに取り込んでいる。さらに性癖を克服しようと…。彼女たちと2人を温かく見守る女将、そして謎の文通相手・奈緒、この女性4人の会話は、途中から結末が分かってしまい、パラレルワールド的な展開が透けて見えてしまう。設定と展開に工夫を凝らし、親・子の問題(養護施設-ネグレクト、女将の思い-不妊治療等の台詞)に迫ろうとしている。が、表面上-言葉だけで物語全体からその思いが伝わらない。そこにこの公演への もどかしさを感じた。

    気になったのが演技。何となく演じていますといった不自然さ。特に顔(表情)の変化はワザとらしい。
    タイトル「お月さまの悪戯」は、4月の”ピンクムーン”がある奇跡を起こすという意らしいが、もう少し時間軸を長くし「親から捨てられた子」「不妊治療しても子宝に恵まれない親」という両観点から語るのではなく、どちらかに重きを置いたほうが物語としては分かり易かった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2021/05/08 05:33

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