6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3 公演情報 オフィス上の空「6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    同じ舞台美術で6団体が競演する企画。
    【青組】観劇。
    前半:Pityman
    後半:こわっぱちゃん家

    上演時間2時間-各1時間、途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    共通セットは、舞台中央に踊り場のある2階への階段と2階部ドア、舞台上手・下手側にあるドア。中央階段の階下(1階)にはソファ。舞台の色彩は、階段上部(中央)が黄(緑)、上手側が赤、下手側が青という3色、組み分けの意味があるのだろうか?

    Pityman 「そんなこと話してる場合じゃない」
     同じソファをめぐってオムニバス風に引っ越し業者、思いを語る若者、別れそうな夫婦と3つのエピソード。これらのエピソードを包み込むような物語が、今のコロナ禍における演劇公演そのもののあり様を描く。
     公演を観に来た男が、劇場入り口の検温で引っ掛かり中に入れない。そこで先の3話が次々と展開していく。時間を経てまた検温をするが、それでも劇場関係者は何らかの理由を付けて中へ入らせない。一方、劇はソファが外に出せないをコミカルに描いていく。この入る出せないといった、真逆のような行為を「劇中劇」仕立てとして面白可笑しく観せる。シンプルな舞台セットにも関わらず、奇知に富み世相をしっかり皮肉る世界観は秀逸だ。

    こわっぱちゃん家 「Picnicへのご案内」
     どちらかと言えば王道的な観せ方(作品)。子供叱るな来た道だもの年寄り笑うな行く道だもの、といった言葉を思い浮かべる。若者が楽しく過ごす近未来のシェアハウス、しかし いつか各人に訪れる"ピクニック"とは? 20歳代の若者男女4人が元気いっぱい楽しそうに暮らしている。しかし若者に見えるのは外見だけ、実際は後期高齢者が入所している老人ホーム。
     ある日、シェアハウスの管理人が1人の住人にピクニツクへの招待状(手紙)を持参する。そこから状況、雰囲気が一変する。今まで同じ空間・時間を過ごしてきた仲間、その仲間との別れ、それは世代に関係なく一抹の寂しさが残る。このシェアハウスでのピクニックは別の意味合いのある別れが…。まさしく近未来のシュールな物語。

    2団体ごとの競演といったスタイルだが、特徴を挙げるとすれば Pitymanは脚本の独創性、こわっぱちゃん家 は演出の奇抜さといった違いを思わせる。同じ舞台セットでこれだけ違う物語を紡げる、やはり演劇の幅広さ奥深さを感じることができる好企画。次回公演(企画)も楽しみにしております。

    0

    2021/05/08 05:31

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大