引き結び 公演情報 ViStar PRODUCE「引き結び」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    公演は「紬」と「結」の2チーム。自分は「結」(大千穐楽)を観劇したが、終演後の挨拶で主宰・星宏美さんが落涙、それにつられて自分も涙腺が緩む。
    さて芝居は、コロナ禍の状況を物語に重ねるような、そこにこの公演(演劇に対する思い)の真骨頂をみる。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台セットはシンプルで、下手側に机とパソコンが置かれているのみ。正面には色とりどりの三角形をした羽目(硝子?)板のような造作。舞台がシンプルゆえに、逆に人物描写の深掘りが求められる。

    梗概…物語は某劇団の公演中の受付。そこに現れたのが星乃美桜(星宏美)。入団希望者としてやってきた美桜は、劇団主宰者・佐藤慶大や主演女優兼制作の北郷春(中山ヤスカ)の養成所時代の恩師の娘。一方、父の星乃真咲は、娘が弱視というハンディを負っていることから、女優になるのは難しいと反対する。しかし、美桜の決意の固さと彼女の母親で元女優の故・星乃いぶきの事を思う劇団員達の理解や協力もあって劇団員として舞台に上がることになるが…。

    美桜は弱視で、その世界(視野)は5円玉の穴から見るようなものだと表現している。先がボヤけ見難さは、まさにコロナ禍における先行き不透明で不安な状況そのもの。美桜がどう生き世間とどう関わっていくのか、別の観方をすれば、コロナ禍においてこの状態とどう向き合い、その状況と関わっていくのか。まさに今の状況に通じる重要なテーマが横たわる。その危うい状況を誰かのせいにするわけではなく、何かを成し遂げるためには自分で障害(物語では弱視を障がいと表現)を乗り越えようと努力する。

    「演劇」は、稽古から本番まですべて人との関りで進んでいく。それが当たり前だと思うが、状況は一変する。今は劇場での実演、ライブ配信、アーカイブ配信など色々な手段を通して観客と関わる。本公演も上演するまでには相当な困難(感極まって星さんの涙)があったと思われるが、それでも舞台という芸術の必要性を訴える、そんな気概を思わせる内容であった。舞台は毎回異なる、その公演を行う者、それを観ようとする者、まさに一期一会、それこそがタイトルの”引き結び”ではなかろうか。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2021/05/08 05:29

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