6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3 公演情報 オフィス上の空「6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    11日、東京の吉祥寺シアターで上演されたオフィス上の空 6団体プロデュース「1つの部屋のいくつかの生活#3」を観てきた。これは、舞台上に設定された同じセットを使って6つの劇団が60分の作品を上演するという競作プロデュースで、一公演に10分の休憩を挟んで2団体が上演を行うというもの。自分が観た回は、PnademicDesignの『犠牲と補正』、劇団競泳水着の『月にいるみたい』という作品が上演された。

    舞台上の共通セットというのは、舞台中央に踊り場のある2階向かう階段と2階のドア、それに舞台上手と下手にあるドア。中央階段の一階胃部分には応接セット。この基本セットに何らかの追加セットを置くことは許されているらしく、例えば『犠牲と補正』ではベッドや車椅子、『月にいるみたい』ではホテルのフロント用のカウンターなどが追加されていた。

    1作目の『犠牲と補正』は、難病の母子、その母を安楽死させた娘の恋人、動けないけれど意識はしっかりと持っている娘の声にならない叫び、妻を殺された夫の葛藤、被害者と加害者の関係と、かなり相関関係が複雑なのと、扱われているテーマが重いので、内容が分かれば分かるほど観ている側の心が締め付けられる。自分は、その重みから抜け出したくて上演中何度腕時計を観たことか。そう、いつこの重い芝居が終わるかと・・・。最後に加害者である男性と、安楽死させられた女性の夫が酒をくみ交わすシーンとなり、なるほどこういう落とし所があったのかと少し心が安まったのは救いだった。
    2作目も、1作目よりは重さは軽いが重いと言えば重い作品。1ヶ月も家族や友人達と音信不通にしていた女性が、学生時代の友人のやっている湖畔のホテルに突然現れて1泊する。彼女がホテルをチェックアウトした日に彼女の消息を追っていた姉と友人がホテルにやってきて、彼女の蒸発状況を初めて知るホテルの人たち。宿泊客である映画サークルのカップルの行動が、消息を絶っている女性の行動に重なり、湖で自殺した可能性も暗示される。しかし、後日彼女がホテル滞在中に借りたお金がホテルの口座に振り込まれていて、彼女の生存がおぼろげに確認できる。彼女はなぜ音信不通になったのか。その謎を解くヒントが作品の所々に暗示されているが、最終的に彼女が今どうしているかは観る側の想像に委ねられているようだ。

    60分という限られた時間と制約のある舞台セットでこれだけの作品を上演することの出来た劇団、脚本家や役者の力量に拍手を送りたい。たの4団体の作品を観る時間が作れなかったことが悔やまれる。

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    2021/04/18 17:19

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