モダンボーイズ【大阪公演中止】 公演情報 パルコ・プロデュース「モダンボーイズ【大阪公演中止】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    戦前左翼崩れの浅草レビュー作家の話ということで、太宰治と井上ひさしを合わせたようと思ったら、モデルの作家は実在した。菊谷栄。舞台では、何度も上演した代表作「伝令兵」の、恋人の戦地での無事を祈るセリフが、日中戦争近づき削られる。時期はさておき、実際にあったことではないか。

    加藤シゲアキ演じる左翼学生矢萩奏(かなで)が、菊谷のおかげで音楽、演技の才能を開花させ、人気俳優になる。最初に歌うMy Blue Heaven は鳥肌ものであった。でもこれは左翼でなくても、例えば詐欺や押し売りからの転身でも成り立つ、と思っていたら、そういう展開も出てきて驚いた。

    新人女優が先輩のいじめと、認められての仲間入りというイニシエーションを受けるのも、軽い洒落た演技でよかった。
    前半80分、後半90分、
    休憩20分込み3時間10分だが長さを感じなかった

    ネタバレBOX

    奏が、昔の活動の先輩の「革命の炎を忘れたのか」と言われて、迷いを吹っ切って反論する。「劇場は奇跡が起きる場所。僕はここに命をかける。これが僕の戦いだ」と。井上ひさしにも通じる演劇人の志がある。この点はヤクザと左翼の違うところ、人々の心を動かす点で、左翼活動と演劇は親和性がある。ただ少々説教っぽい。井上ひさしがどう語ったか調べたい。

    客席はジャニーズファンの女性が9割。志ある作品だが、見せる相手が違う気がする。踊り子たちの、ここに来るまでの苦労や、「女性が稼ぐには体売るしかない」というセリフもあるにはあるが、添景という程度。何を受け止めているだろうか。

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    2021/04/06 16:16

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