容疑者χの献身 公演情報 演劇集団キャラメルボックス「容疑者χの献身」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    あの「容疑者Xの献身」が舞台の上にあった
    時間や場所が多様に交錯するミステリーを、一体どうやって舞台にまとめ上げ、原作を知らない人にも理解してもらえるようにするのだろうと、興味津々ででかけた。

    見事だった。脚本も演出も役者も一体となって、まさに、あの「容疑者Xの献身」がそこにあった。
    ここまでできるとは、さすがに思ってなかったので、本当に驚いた。
    しかも、途中だれることも、飽きることも一切なく、全編をスピーディに突っ走っていたのだ。

    カーテンコールの惜しみない拍手がすべてを物語っていた。

    ネタバレBOX

    この舞台を観に来るお客さんの多くは、原作を読んでからか、映画を観てから来ているのではないかと思う。

    そうするとストーリーは当然知っていつつの観劇だろう。

    原作ありで、このように再現性の高い舞台だと、ついつい、「原作との答え合わせ」的な見方になってしまいがちだ。

    今回は原作に忠実に、ということであるらしいのだが、できれば、ここまでできるのならば、もっとキャラメルボックスならではの解釈、視点がほしいと思うのだ(もちろんストーリーを変えてくれというのではない)。

    原作と唯一異なるのは、チョイチョイ挟まれるお笑いの部分だ。これは、どれもいいタイミングでうまい具合に挟まれているので、とてもいい効果を生んでいると思う。
    だけど、それが劇団の「容疑者Xの献身」に対する答えであるとは、もちろん思えない。

    せっかく原作のある話を取り上げるのならば、取り上げた理由があるはずで、そこを掘り下げて、観客に提示してほしいと思うのだ。
    感動したから取り上げた、のならば、どこにどう感動したのかを劇団の独自性で示してほしい。

    例えば、話の軸にある、石神の内面をもう少しじっくり見せるなどのシーンが、全体のスピード感を殺してしまっても、また、あと15分上演時間が長くなったとしても(これだけ見事なのだから、もう少し長くてもまったく苦痛ではない)、是非ほしかったと思う。
    立ち止まって、観客も考えるところ(あるいは、帰り道でふと思い出すようなひっかかり)がほしいのだ。

    とても、よかっただけに、そう思った。

    また、笑いのシーンなのだが、保険的な意味合いなのか、太ってるとか顔のことなど、容姿に関する笑いは、確実に笑いをとれると思うのだが、なんかベタすぎて、この話の全体から受ける印象と比べて、いかがなものかと思ってしまった(周りは大笑いしてたけど)。
    なんか無理矢理感もあるし(そんなに顔でかくないし、とか)、そのいう笑いを選択しなくても、笑えるシーンは、十分、笑えるし面白いと思うのだが。

    次回は、再演でオリジナルらしいので、原作からの呪縛もないし、こんなに素晴らしい舞台ならば、是非観たいと思う。

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    2009/05/15 04:52

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