熱海殺人事件 公演情報 うさぎストライプ「熱海殺人事件」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    開幕するなり舞台の悪条件が目についたが、どうにか「熱海」を面白く味わった。今回もまた、以前観たアマチュア劇団の「熱海」を凌駕する舞台ではなかった。台詞はよく聞こえ(一部音楽にかき消された甘噛み台詞が2,3あった程度)、冷静な頭で戯曲の全容を見せてもらったという感じだが、戯曲に期待される舞台になったか否かと言えば少し勝手が違った。元より現実には成立しない破天荒な台詞、また伝兵衛と熊谷の芝居上の棲み分け(役割の明確化)が難しい戯曲で、芝居というものは「成立」しなければならないのだとすれば、成立に至らずなのではないか、とも。ただ、4名の役者が見せ場をこなし、精度の高い演技を目指しつつ「熱海」を構築しようとした目標があったとすれば敬意を表したい。その成果か、作者が残した珠玉の決め台詞は澄んだ声を通して力強く耳に届いた。

    ネタバレBOX

    舞台上の悪条件とは、ステージの床を裸の土間にし、壁を隠す幕も袖も置かなかった事で、声がコンクリに反響する残響を伴ってしまった事。終始これは「荒唐無稽なキャラで押す芝居」への没入を阻害した。
    この戯曲がやってのけている常識の転覆の痛快さを「放棄していない」と見えたのは救いであったが、もしや、「現実感」の手触りの中に(手足をもぐように)この作品を投げ入れるのが今回の「試み」で、明暗を駆使しない明るい照明も意図的だったかも。
    そうであればそれはそれと受け止めなくはないが(多分その狙いは意識されてなかったと思うが)、どちらにしてもデメリットだったと思う。

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    2021/03/15 13:23

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