ウィーンの森の物語 公演情報 東京演劇アンサンブル「ウィーンの森の物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2021/03/10 (水) 14:00

    とにかくポップな舞台と衣装、終始ダレずに軽快に飛ばしまくる舞台進行は、その話の重さとは裏腹に、とにかく理不尽なくらいに楽しい。風船の爆発にも、ステッキの受け渡しの失敗にも、飄々と対応する役者諸氏の所作は、誠に余裕を感じさせて心憎いばかりだ。
     「ブレヒトの作品は民衆には判らないが、私の作品は誰にでもわかる。」さもありなん、そう言い切ったらしい、ブレヒトと同時代人であるホルバートの言葉は、お世辞ではなく的を着いている感じがする。そのことは、女性差別・男尊社会を描き、幼児虐待までも取りあげながら、この舞台には一編の暗さをも感じさせないのは、そうした翻しが可能なほどに、
    人間の業や性に根付いた作品だからであろう。ブレヒト劇にそれはできまい、いやできてはならない構造があるような気がする。
     とにかく、ここに出てくる男たちは、陽気で反省や後悔という者を知らない。肉屋の主人オスカーのマリアンヌへの代わらぬ執着は、愛ととれれば気分も和むが、どうやら所有欲の所産らしい。彼には、マリアンヌを盗すんだ(と思っている)アルフレッドへの嫌悪感は強いが、それはマリアンヌをぼろきれの様に捨てたことへの怨嗟ではなく、盗られたことへの恨み節に過ぎない。
     マリアンヌの父魔術王は、哀れな境遇に落ちた娘への哀惜どころか、未だに自分の思い通りにならなかった娘への悔恨の沼で喘いでいる。
    そして、アルフレードは、マリアンヌを捨てただけではなく、祖母と(実質)共謀して息子を殺め、その上祖母から借金を重ねて放蕩生活。その他、ハヴリチェク、ヒアリンガー、エーリッヒ、ミスター、ここはクズ男の品評会か!!!
    公家義徳が、武体の締めとして、マリアンヌに叫ばせた(本にはない)一言。暗転後に舞台奥から駆け出してくるマリアンヌ、よく言った(言わせた)!!!

    ネタバレBOX

    アフタートーク、この作品が大戦間に書かれ、その背景として戦争に話を振ったまでは興味が出たけれど、
    その後に日本の軍需産業の話を延々とされてもなあ。
    私(達?)は芝居の話を聞きたいのだよ。

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    2021/03/12 15:49

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