子午線の祀り 公演情報 世田谷パブリックシアター「子午線の祀り」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    従来よりも上演時間を短くし(休憩込み3時間)た。カットは役にも及び、出演者を31人から17人にしたという。全文上演は4時間半。これまで多少カットしても4時間近かったことから大幅にスリムにした。スピーディーでありつつ、テーマもクリアになってよかった。非情な天の動きは「人の世の営みとはかかわりもないこと」なのか、という知盛の問いに対し、影身が関係ないとはいわず、ただ「非情なものに、しかと眼をお据えください」というせりふの微妙なニュアンスがよくわかった。

    舞台中央に傾斜した三日月形の高い舞台を作り、その中央の空間を、時に船内に、時に海面にと、いろいろに見立てた。冒頭のナレーションから影身(若村真由美)はずっと後ろ姿で舞台に立っているし、三幕ではずっと、背景にろうそく?を持った影身の姿が見える。四幕の合戦では、中央の知盛(野村萬斎)の後ろに背後霊のように民部(村田雄浩)がずっといる。公演プログラムのインタビューで、萬斎が影身と民部の存在感を高めたいと述べていたが、それをわかりやすく示した演出だった。宗盛(河原崎国太郎)の無能な善人ぶりもクリアで、彼のだめぶりの場面では必ず笑いが起こった。「子午線の祀り」の笑いは貴重である。

    知盛はハムレット、対する源義経(成河)はドン・キホーテである。平家方の知盛―民部の主従・対立関係と、源氏の義経―景時(吉見一豊)の関係が対比されている構造もよく分かった。戯曲をスリム化した効果だと思う。

    この作品を見るたび、結局、人間は自然の法則・歴史の法則には逆らえないのかという諦念を感じ、作者の意図をどう受け取めればいいのか困ってしまう。今回も一層そう思った。

    ネタバレBOX

    客席は市松模様の50%だった。

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    2021/02/23 19:12

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