満足度★★★★
親世代と子世代、夫婦の間、嫁と姑、借金地獄など家族間の軋轢を、保守一族に対する、若い革新世代の反乱にまとめた。役者たちがどないあい、泣き叫ぶ熱と圧がすごい。でも、観終わってみると、意外と爽やかな気分で終わった。
激しく議論がぶつかり合うのはいつものトラッシュ節なのだが、どこか距離を取ってみられたのは、なぜだろうか。保守で選挙のためには金もばら撒くワル爺さんにも、可愛げが感じられ、悪人はいない。中津留氏の大分の実家がモチーフになっているそうなので、登場人物への愛情が根底に流れている気がした。そう言えば、永井愛も思春期は明治女の祖母との闘いに明け暮れたそうだが、祖母をモデルにした芝居「見よ、飛行機の高く飛べるを」は、愛らしい少女時代の話でさわやかな青春ドラマだった。
広い家の間取りをキッチンから大広間まで作った舞台セットは間口八間もあった。横長のこの舞台が、家族の芝居のリアリティーを支えていてよかった。