夢うつろう、現の先に。 公演情報 J-Theater「夢うつろう、現の先に。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     夢うつろう、現の先に。を拝見。華4つ☆

    ネタバレBOX

     インフォメーションコクーンコクーンという言葉は既に1度説明した覚えがあるが、未知の方もあるだろうからもう1度説明しておこう。ネットを利用している総ての方が経験をお持ちだろうがGAFA等は、一応匿名化されていると称しつつ個人情報を集積しており、個々人の好みや思想傾向等に合わせて広告等を配信してくる。ネットユーザーは自分で様々な情報や買いたい商品、選挙の際の被選挙者を選んでいるつもりが、実際には釈迦の掌の上を觔斗雲に乗って得意になって飛び回った悟空のように井の中の蛙よろしく他人の仕掛けた罠や情報ネットワークの意のままに操作されているという状況・状態を指す言葉だ。無論、ケンブリッジ・アナリティカ事件等も実際に起こってきた訳だから興味のある方は自分で調べてみると良い。閑話休題。では、何故インフォメーションコクーンの話を書いたかだが、現在の我々の日常生活では、ヴァーチャルな世界で起こっていることが、現実に密接に関わり変容させているという事態が在るからである。トランプやQアノンのフェイクに踊らされた多くのアメリカ人が実際に様々な事件を起こし現在も尚大きな影響力を持っている。科学的・理性的な判断力を持っている人間には考えられないような非論理的、非実証的なことを容易く信じ込み、あまつさえ行動に移すという愚挙は目に余る。日本でも政治屋・キャリア官僚共のCovid-19に対する対応は、矛盾だらけで非科学的な為、民衆が苦労させられている。小規模商店等は倒産が相次ぎ、倒産に至らずとも店舗縮小や売り上げ減で吐息をついているのが実情だ。地方では村八分が起きて居る。このような現実から逃避したくなるのは人情ではある。然し逃げ出したらその時点から状況は益々悪化するというのが実情だろう。言う迄も無く、生きることは他の命を喰らうという重くヤクザな行為の積み重ねだ。人間が地球上で食物連鎖の最上位を占める生き物である以上、他の総ての動植物に対して責任があるのもまた確かなことなのである。論理というものはこういった基本を基に組み立てねばなるまい。
     今作では、この基本を外し都市伝説に入り浸った果てに遂には究極の選択を迫られる少女の話であるが、ここに登場するのが“スンナトランスツツウメユ”というマジナイである。このマジナイを唱えて30分以内に寝ると夢を操ることができる。然しその対価は己自身の責任として払わねばならない。此処で見る夢は、己の深層心理が望むことや無意識の中で普段は気付かれない欲望等が実現された形を取る。而も夢と現の境は極めて曖昧であり、どちらが夢でどちらが現実かの判断も徐々に狂ってゆく。この在り様こそ、インフォメーションコクーンと現実の関係に似ているのである。実際、舞台上でこの経緯がどのように描かれるかは観てのお楽しみだ。
     因みにマジナイを解釈してみると、こんな具合か。“夢現つトランスすんな!” 
     朗読劇の形式を採り、若手の役者達が演じるが、声のみの出演で山田栄子さんが出ていらっしゃる。演劇人として長い経験を積んだ方の深みは、流石である。

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    2021/02/14 13:08

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