堕ち潮 公演情報 TRASHMASTERS「堕ち潮」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2021/02/04 (木) 17:00

    主宰で作・演出の中津留が、自身の「家族」を題材にした骨太の劇作をしている。観るべし!
     大分の旧家である西島家・岡本家は祖父母の代が兄妹で、その息子・娘の家族、その子ども、と3世代が同居する。その岡本家の3室が座・高円寺の舞台いっぱいに作り込まれたセットが、まず目をひく。そこで展開される総勢15人(17役)の群像劇で、最初は細かいエピソードの展開で始まるが、岡本家の10歳の優人が、小学校で南京大虐殺の授業を受けたことから物語が大きく動く。以前何かのアフタートークで、中津留の祖父が南京で従軍していたことを小学校の授業で紹介された、という話を聞いていたので、これは中津留の家族の物語なのだということが分かり、興味を持って観ていた。
     80年代初頭、その2年後、の1幕(50分/45分)、休憩15分を挟んで、さらに10年後、またそのさらに10年後を描く(50分/40分)、壮大なドラマである。休憩込み3時間20分が長く感じない(体は確かにキツイが…)。設定は一応は実在の家族を模しているように思われるものの、出来事のどこまで実話ベースなのかはさすがに分からないが、いかにも地方の都市でありそうな現実と理想の対立やら何やらが描かれる。何かを訴える、というのではなく、自身の家族を舞台に壮大な物語を展開されることに腐心したように思われる。
     特には、岡本家の事実上の当主である祖母世代の千恵子を演じた、みやなおこ、の存在感と、その嫁で姑に使われる佳那子を演じた川崎初夏の演技が興味深いが、何と言っても注目したのは、2012年以来の出演となった劇団員の、ひわだこういち、である。ひわだは以前の作品では劇中のキモとなるセリフを語る重要な役割を演じることが多かったのだが、8年半ぶりの出演でも数々の重要なセリフで見事な存在感を示してくれた。古いファンとしては、うれしい限りだ。

    0

    2021/02/05 15:00

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大