満足度★★★★
鑑賞日2021/01/13 (水) 19:00
座席1階
文化座には珍しいミュージカル。ストレートプレイでなくミュージカルでホロコーストを取り上げたのは、子どもたちへのメッセージとして成功していると思う。
アウシュヴィッツ博物館から東京のホロコースト教育資料センターに、展示品の一つとして届けられたのが、ホロコーストで命を絶たれた少女、ハンナ・ブレイディの旅行かばんだった。家族でただ一人生き残ったハンナの兄・ジョージが、これをきっかけに訪日し、日本の子どもたちと出会った。この物語は児童書になっていて、今回、文化座も忠実に舞台化した。
ヒトラーによるユダヤ人虐殺は教科書にも載っているから、多くの子どもたちが知っているだろう。だが、なぜユダヤ人が迫害されなければならなかったか、という疑問は出る。今回の舞台で、そこにきっちり答えを出しておくと、子どもたちにもより分かりやすい舞台になったと思う。
途中休憩をはさんで二時間半弱。鍛えられた役者たちによるミュージカルは、物語の説得力を増すのに十分効果があった。やはり、戦争と平和という大きなテーマでは、文化座の舞台は力強さを感じる。このコロナ禍ではあるが、多くの子どもたちに見てほしい作品だ。