絶対、押すなよ! 公演情報 東京AZARASHI団「絶対、押すなよ!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    冒頭、客席通路から登場し、舞台上で見せた後姿のシルエットはサスペンス・ミステリィを思わせたが、それは始まりだけ。物語の大半は笑いである。しかしラストはそれまでのコメディから一転滂沱を誘うような結末。”笑劇”から”衝撃”的な結末へ導く。その感情の落差というか振れ幅が凄い!
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    セットは、中央台に何やらボタン、その周りに椅子が10脚。正面には段差ある舞台という極めてシンプルな作り。それゆえ何処かの室内であることは一目瞭然。同窓会という触れ込みで集まった中年(50歳代)の男4人と自衛隊員と称する若い女1人。物語の展開を書いては、これから観劇する人の楽しみ 面白さを奪ってしまうため書けないが、人生の軌跡を辿りながら奇跡的な思い、その心温まる結末が今年のコロナ禍(時事ネタとして盛り込み)という暗い世相を吹き飛ばしてくれそうだ。ボタンは「絶対、押すなよ!」でも、人生の背中は「絶対、押せよ!」友達なら…そう、この公演は人生の応援歌である。

    物語は、期待を裏切ることなく何事も完璧にこなす事を良しとした男。不満を残し後悔するような事はしない。何事にも真摯に向かい合う。それが小学生時代からの信条で、友達間ではリーダー的存在。その生き方は正論であり、一方 見方によっては一定の殻で身を守り、周りに息苦しさを感じさせる。登場人物は、そんな身近に居そうな人物。その中年男4人が馬鹿話や他愛のない行動、チョットした仕草を面白可笑しく演じ、劇場内に失笑、小笑、爆笑を巻き起こす。

    舞台の段差を活用し、そこを上らせながら小学校以降の人生を語らせる。定番的な演出だが、味わいと雰囲気は伝わる。ところがこの場面にもツッコミを入れて笑いを誘う。どの場面も、そして どこまでも笑いを引っ張り、ラストはどうなるのか興味を引き付ける。が、この人生の歩みと言うか軌跡(心)あたりから、ラストに向けたスパート的展開が見事。観応え十分だ。もう相当ネタバレしてしまったか?

    もちろん中年男4人の演技は素晴らしいが、紅一点の自衛隊員が笑顔もなく淡々と話す姿が、男たちの対比として面白い。そしてこの娘が重要な役どころになっているとは…。出来れば観客の雰囲気を含め劇場で生(ナマ)で楽しみたい作品である。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2020/12/26 12:18

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