ブカブカジョーシブカジョーシ 公演情報 オフィスコットーネ「ブカブカジョーシブカジョーシ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    コメントしていなかった。
    配信期間が長かったので何週間か空けて二度目を視聴したが、中盤を随分忘れていた、というより一度目は途中半分程見ていなかった(「少し意識が飛んだ」自覚はあったがこれほど長かったとは)。
    会社人間である課長(高田恵篤)と、扱いにくい神経質な部下(野坂弘)のコミュニケーション齟齬から破滅的な結末へ至る話。上司が幻影を見ているのか、実は部下の幻覚なのか、それとも現実なのか・・不分明だが、見終えた時課長にとって会社、人生とは何か、彼は何に納得して生きている(きた)のか、問いが残る。現代ではこういう「会社人間」的存在はシーラカンスであるかも知れないが、吹く風になびいて人が右往左往する風景は会社という建物を出て広がっているかも知れない。

    舞台は開帳場のような四角の台の奥に背中合わせのデスクが置かれているのみ。周囲は暗く、居て落ち着く場はない。他の登場人物は、課長演じる高田が部下の母を(部下の自宅)、部下を演じる野坂が課長の上司(部長・社長・専務3人セット)と、課長の妻(課長の自宅)を、コピー紙にマーカーで目鼻を描き殴ったような面を付けて演じる。常に狂気を帯びた部下は上司を翻弄する。部下の狂気がエスカレートするのか上司の精神が揺らいで風景が歪んで行くのか・・作者大竹野がどう書いたかは分からないが、最後に命果てた課長は「会社人生」の残骸に見える。
    人が不安に見舞われる時、確かに「見たくない」光景が脳裏を掠めている。想像に過ぎないそれは得てして生々しく、ただしそれは殆ど意識されずただ怖気だけを残す。この芝居はその光景を描き出したようにも見える。だが作者的狙いは恐らく(庭劇団ペニノが以前作っていたという)深層心理の映像化、とは異なる感じ。部下は、標準的会社人間である上司を効果的に追い込む攻撃を繰り出すものの、それが確信犯であるのか逆なのかは、どちらとも読めるというサスペンスな作りになっている。そして二人のやり取りの中に社会批評が読み取れる、という構図になっていると思う。
    部下が自宅で母とかわす会話には、彼が神経病みである線が強く滲むが(彼は今29歳で以前やっていた登山の仲間から電話で誘いがあったと伝え、健やかでスポーティだった息子に戻って欲しい願いを込めて誘いに応じる事を勧める)、他の場面=会社では上司側から見た部下が、確実に上司に打撃を加えようとして来ているように見える、
    境界線上を行くような不条理劇が領分とも言える佃氏の演出は、激しく緩急がありかつ不気味に不安の漂う舞台を作っていた。

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    2020/12/14 11:38

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