実演鑑賞
満足度★★★★★
喜劇との説明であるが、確かに表層的には喜劇かもしれないが、物語の根底はなかなか考えさせる重厚なもの。観応え十分な作品である。
さて、この「歌わせたい男たち」の初演は2005年らしいが、自分は観ていない。しかし、1999年に東京にある公立小学校の入学式で国歌(君が代)のピアノ伴奏するよう命じられた職務を拒否した教師が、それを理由とする処分の取消を求めた裁判があったのは覚えている。何年後かに最高裁判所の判決が下された。物語の台詞にもその引用があった。それは憲法(憲法19条)に規定されている「思想及び良心の自由を保障」を巡ってそれぞれの理屈を主張する骨太論議が見事。同時にそれを実に印象深く演出しており、比較的小さい新宿眼科画廊だけに密室、登場人物の接近した濃密、緊迫した議論の緊密(コロナ禍の3密とは違い)、そして白熱した論議が素晴らしい!。
(上演時間2時間 途中休憩含む)