満足度★★★★
フライングステージ3回目の観劇。2年前観た作品と相似形に見えたが、これが関根信一流の作劇なのだろう。「問題」の提示がズバリ冒頭間もなくにあり、当人(主人公)にとっての障害が人との対話、出会いによって一つずつ解消して行く。これがご都合主義に見えないのは主人公の「痛み」の源がラスボスのように本丸に控え、これを打倒しなければ身が立たないと、観客が感じるように構成されているからだろう。シンプルでスリムな建造物で「問題」(性的マイノリティの現状)のありかを示すほとんど教科書と言って良い作品は、関根氏の本音、真剣味が滲む(笑いを交え口当たりが良いのはゲイバーママの接客の手法だろうか・・完全な「想像」だがストレートに真面目な話が「聞ける」のは語り口の勝利と言うしかない)。
ただ・・主人公が「新たな出会い」の中でパートナーを見つけ、最後にそれが開陳される(前回観たのと同じ)展開は、まあ「おまけ」と言ってしまえばそれまでだが、フリーターっぽい元彼からエスタブリッシュな新彼へ、という経済的・地位的なステップアップになっている点で「出来すぎ」の感が出る。果たしてこれは、パートナー活(婚活ならぬ)にとって相手の地位・収入は重要という感覚(同性パートナーの女性的な側にとっての?)が実はリアルに描かれていたりするのか・・等と想像したり。
確かにフライングステージはその腹の括り方がドラマの機動力であり、笑いをクッションに道理を通す。素人の観客(私)は毎度しっかり説得される。