火の殉難 公演情報 劇団俳優座「火の殉難」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/11/11 (水) 14:00

    座席1階

    劇団チョコレートケーキの古川健作。俳優座への書き下ろしで、世代を超えた舞台に仕上がるのではないかと思って出かけた。だが、今回の客席のほとんどが、高齢者であった。マチネということもあったかもしれない。
    高橋是清の人生を新聞記者の取材という切り取り方で描いた。それはそれでよいのだけれど、時代が前後するのと場面が切れ切れになっていて分かりにくさがある。時系列に並べても問題はなかったのではないか。あと、やはり休憩を挟んでの3時間は長い。この中身ならもっとコンパクトに、リズム感のある作品に仕上がったのではないか。
    しかし、さすがに役者たちの演技力はすごい。高橋是清役の河野正明が特に素晴らしかった。「話せばわかる」人だけに、難題を吹っ掛けられても物腰柔らかに対応する。相手の意見もじっくり聞く。高橋是清という人はそういう人だったのだろう。それを十分に想像させる演技力だった。
    今の問答無用、都合の悪いことは逃げる、説明も拒む政治に辟易していると、このような理を尽くし、反対意見も認めて進める政治がとてもうらやましく感じられる。この舞台に登場する犬養毅もそうだが、そうした気骨のある筋の通った政治を問答無用の銃弾で粉砕し、自分たちのやりたいことをやる。ここでは軍部がやりたいこととは戦争の遂行であったが、現在の政治も論議を避けて逃げ回り最後はやりたいことを強行している。今のところ戦争ではないからいいかもしれないが、やはり、こういう政治を見逃していてはヤバい。戦争に突き進んだ過去を嫌でも思い出してしまう。
    「殉難」という言葉は古風な感じもするけど、今の時代に殉難が起きないことを切に願う。

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    2020/11/11 18:48

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