「獣の時間」「少年Bが住む家」 公演情報 名取事務所「「獣の時間」「少年Bが住む家」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2020/10/30 (金) 14:00

    「少年Bが住む家」
    よい舞台だなあ。ここには、悩んだり、失望したりしながらも、どうにか一筋の光明を見出そうとする、強靭というわけでないけれど、けして失われない幸福への意志がある。
     デファンが一四歳の時に犯した殺人の背景については、あまり描かれないが、それはそれとして彼の贖罪意識を軽微なものとさせない。むしろその事件の深淵を漂わせるように繰り返される暗転、暗闇の描写が、何物かに囚われたこの家族の悲劇をひどく私の皮膚感に刺激として残させるのだ。
     

    ネタバレBOX

    デファンに見える14歳までの自分、それは殺した友人の両親に謝罪へと向かう彼の贖罪への原動力である。姉の目は温かい、人はこれほどまでに優しくなれるのか、父の行動はたくましい、人はこれほどまでに強くなれるのか。だから、母は慟哭の闇に引き込まれることなく、最後の最後までデファンの背中を見つめることができるのだろう。

     保護監察官の「ヤコブの相撲」の話。彼は神に勝つことをもって、自ら生きる使命に気付かされた人間と言えるかもしれません。人生には、けして絶望などないのだと悟りながら。

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    2020/11/07 01:34

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