満足度★★★★★
鑑賞日2020/11/04 (水) 19:30
座席1階
第一話と第二話を見ているので、第三話の「常闇、世を照らす」を拝見した。安倍一強の独裁政治に辟易していると、金権政治といわれながらも田中角栄の人間的な側面、有権者への熱意などがとても新鮮に感じる。もちろん、刑事被告人となり有罪判決を受けた田中角栄をその面では評価できるものではないが、この舞台は、田中政治の人間くさいところをうまく表現していると思う。
舞台に登場する自民党の派閥の領袖たちもおもしろい。諸悪の根源と言われた派閥政治だが、今の自民党が安倍独裁で萎縮してしまい、さらなる独裁者管首相の強権的な振る舞いなどを見ていると、当時の方がよっぽど民主主義的だったと言えなくもない。
田中角栄、娘の真紀子、山東昭子はとてもよく似ている。大平首相は「あーうー」という物言いはまねしているものの、もう一歩かな。でも、似ているとかどうとかいう問題ではないのだ。それぞれの持ち味がよく出ていると思った。
このシリーズは日本の政治の権謀術数を描いている。今も当然そういうことは政治の一部としてあるのだが、やっぱり登場人物たちの力がそこそこ均衡していないと、舞台やドラマにしにくいだろう。そういう意味では、今の自民党政治はドラマにもなりにくい、つまらないものだと言えるかもしれない。劇場を出てそんなことを考えた。