私はだれでしょう 公演情報 こまつ座「私はだれでしょう」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    平埜生成(ひらのきなり)氏がとにかく凄い。
    この役を完全に自分のものにしている。 他の人には再現の出来ない産物。顔芸、ダンス、タップと平埜氏の大暴れを熟練の超一流役者陣がガッチリ脇を固め、受け止め切っての後押し。ピアノの朴勝哲氏との息もピッタリ。初演の川平慈英氏バージョンも観てみたかった。(当て書きらしい)。
    朝海ひかるさんが長身で吉田栄作氏との並びが綺麗。吉田氏はかつての井上順氏や布施明氏を彷彿とさせる味のある良い役者になっていた。シリアスな役柄の朝海さんが愉快に陽気に踊り出すと場の空気が一転してパッと明るく。
    朝海・平埜コンビの『日野浦姫物語』をまた観たくなった。

    戦後まもなくNHKラジオで尋ね人の放送を開始。そこに記憶喪失のサイパンからの帰還兵が訪れる。「私はだれでしょう」。

    ネタバレBOX

    話はいつもの通りの纏まりがない感じ。いろんな要素を無理矢理こじつけているような。けれどそれが退屈でも不快でもないのが素晴らしい。ジブリ的に登場人物に嫌な奴が一人もいない為、微笑ましく観ていられるからか。GHQとの戦いや平埜氏の正体などには余り興味が湧かない。ラスト近くの台詞、『私は誰であるべきなんでしょう?』が胸に来る。
    敗戦直後、不幸の共有者としての連帯感。八幡みゆきさん演じる女性分室員が象徴する純粋なる善意が、其処ら此処等に満ち溢れている。どうしようもない不条理に立ち向かう弱者の最後の武器は、無心の善意だけなのか。

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    2020/10/21 23:57

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