満足度★★★★★
千穐楽お邪魔してきました。
会場から物語の世界観を作っています。
高さ・奥行きともにある能舞台、立ちこめる香の香り、お琴の生演奏。とても贅沢な空間でしたし、カーペットの床と布張りの椅子も快適です。
今回は余白のある美しさを感じる舞台でした。ワンシーンごとに絵巻のように美しかったですし、セリフの随所の「間」からも、それぞれの苦悩や切ない想いを感じ取れます。
キャストは4人と決して多くありませんが、冒頭の舞のシーン、会場の明かりがつくととっても華やかで驚きました。一気に平安の華やかな宮中行事へ。
そしてQueensさんの舞台は、舞台上すべての人の表情・目線に注目です。セリフはなくともその人物の心情を読み取ることができ、そこも楽しみの一つ。
冒頭の舞を見る茨と帝それぞれの表情からも、関係性が見えてきます。
今回は特に指先の所作が繊細で美しく、そこから苦悩や切ない心情が伝わってきました。
そして照明も美しい世界観を作っていた一つ。人物の影を表すような今回の照明のセンス、好きです。
また、それぞれの衣装もキャラクターにぴったりのカラーで役者さんにもとても似合っていて素敵。
劇中にいくつか和歌が出てきますが、次のセリフでさりげなく意味を教えてくれるのでありがたかったです(笑)
脚本・演出のLisaさん作の暁怜と茨の和歌は、それぞれの心情が苦しいほど伝わってくる素敵な歌です。
物語が進むごとに、不思議と香の香りもいっそう強く、濃く立ち込めていくように感じました。
フライヤーの寄り添う2人を見ると涙が出ます。全員の幸せをひたすら願うけれど、ままならない辛さ。暁怜の願いが果たされることを強く願う。
また次があるのなら駆けつけたい、そんな劇団さんです。