赤鬼 公演情報 東京芸術劇場「赤鬼」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ネタバレ

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    野田秀樹の『赤鬼』を観劇。

    一流の映像、舞台俳優を簡単に集められる野田秀樹だが、無名な若手俳優を集めての公演。
    過去にイギリス、タイ、日本バージョンがあり、それぞれの国の俳優を使って何度なく公演していたものの再演である。

    周りを海に囲まれた島で暮らす島民。
    海の向こうに何があるのか?すら知らない島民は、浜辺に流れてくるゴミが唯一の情報源だ。
    そんな最中、同じ言語を話さない『赤鬼』が流れつくが、島民は得体が知れない為か恐怖におののいてしまう。そこで村八分にされている『ある女』『とんび』『ミズカネ』がコミュニケーションを取り始めると少しづつではあるが交流が始まっていく。だが島民は『赤鬼』に興味は示すが排除しようとする気運が高まって行く。
    そして『赤鬼』と『ある女』たちは生命の危機を感じ島から脱出をしたのだが…。

    排除する側とされる側を明確にした内容だ。いまの時期を狙っての公演かというと偶然だったらしいが、初演は1996年というから驚きだ。
    自分は他人に対して差別は一切しないと思い込んでいながらも、生活圏に相入れない他者が入り込んでくるといとも簡単に拒んでしまう。差別意識を寓話にしているからか、己に食い込んでくるメッセージが重くのしかかる。普段から差別という事を心しておかないと、無意識のままに他者を追いやってしまうから厄介なものだ。
    テーマは強烈ではあるが、そこまでして描かないと観客には決して届かないという野田秀樹の叫びが大きく木霊する。
    大人数の若手俳優が狭い四角い舞台を走って、走って、走り回り、人間スローモーション、見立てなど『夢の遊眠社』時代を彷彿される舞台であったが、イギリス留学以降の野田秀樹の戯曲には希望が全くないのである。

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    2020/08/01 11:25

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