満足度★★★★
海辺の寒村に、突然赤鬼(言葉の通じない異人)が現れ、パニックに陥る人々の動きがダイナミックで面白かった。足の長さの違う低い丸いテーブルを、足の枠と天板に分解して、洞窟の入口や、船など様々に見立てる趣向もうまかった。激しい嵐と、浜辺に遭難した3人を村人たちが見つけるシーンも、最初と、最後に繰り返されるが、巧みである。
友人は、コロナという「未知への恐怖」を描いた新作かと思ったと言っていた。異物排除というテーマも、患者や医療関係者などへの差別と重なる部分がある。
観た回はBチーム。とんび役の秋山遊楽が野田秀樹の甲高い声でちょこまかした演技を踏襲していて、面白かった。加治将樹は、前に舞台を見たことがあり、安心して見られた。浦杉恵子も、始まってすぐの群衆場面から、この人がヒロインだなと分かる華があった。姿勢が良く、凛とした雰囲気で、悲劇を背負うヒロインとしての可憐さがあった。
「赤鬼」は以前一度見た。当時は記録もとっておらず記憶はあやふやだが、ネットの公演記録からすると、2004年の野田地図番外公演の日本ヴァージョンだと思われる。